glay-usagi’s diary

ASDグレーゾーン「うさぎ」の、理解されない人生の記録

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接客は得意です!

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私は企業の接客マニュアルが嫌いです。いかにもセリフっぽくて、言うのも言われるのもゾッとします。私が「この人感じが良いな」と思う店員さんは、皆その人自身のマニュアル、その人自身の言葉で喋っています。

私も物心ついた頃から、自分なりの接客マニュアルを持っています。どんな職種でも応用可能で、事務でもコンビニでも風俗でも使えます。それは私のデータベースの大半を占める部分で、35年掛けて蓄積してきた自慢の逸品です。

 

前回の続きで、レジのネットワークが故障し現金以外が使えなくなるトラブルが起きたときのお話です。( → 前回の記事: 急に話し掛けられると…

私がシフトに入った時間帯に、急にレジが使えなくなりました。全て電子管理していたので、何もすることができません。お客さんの自己申告で電卓会計をするという「ゴネ得」の状況でした。

ひたすら説明と謝罪の繰り返しです。前例も対策マニュアルもなく、お客さんが来る度に問題点が浮き彫りになります。毎回その場で対処していくしかありません。

 

私は、そういう応対はへっちゃらです接客の業務中には、想定外のことは起きません。(相手が刃物を持っていたりすれば別ですが…) 私がホストで相手がゲスト、相手に満足して帰ってもらえれば良いだけです。私にとって、基本的に接客にイレギュラーはありません。

ただ他の人は、こういうときは逃げたくなるものだということを学びました。以前の私は、自分だけ逃げる人が理解できませんでした。私には逃げたくなる感覚がよくわからなかったので、ただの怠慢もしくは嫌がらせだと思っていました。

それで何度も上司や経営者とやり合い、幾つもの職場を辞めて来ました。でも、段々と「もしかしたら怖くて逃げたくなるのかもしれない」ことがわかってきました。それならそれで構いません。理由がわかれば別に良いのですが、訳もわからず理不尽なことが私は嫌だったのです。

案の定、先輩である相方は事務所の中で機器と睨めっこしたまま出てきません。管理会社からの折り返しを待っている間にできることは何もないのですが、今の私には理解できます。仕方がありません。

 

非常にお冠のお客さんが、レジの前でどんどんモンスター化していました。こちらのトラブルで申し訳ないのですが、物理的に不可能なことを延々と要求しはじめていました。

誠心誠意の応対をしていたと思うのですが、埒が明きません。これは長くなりそうだと覚悟をした頃、たまたま非番の店長から電話が入り、相方がトラブルの報告に関する通話をはじめました。

私はこれ幸いと、その回線を利用することにしました。電話を代わってもらい、敢えてお客さんの目の前で電話越しに店長へ事情を説明し、その状態で応対する作戦です。

 

お客さんは年配の男性で、はじめは理解を示していました。しかしQR決済で付くはずだった決済会社のポイントが付かないことをお伝えした所から急変し、大声で暴言を吐き続けていました。既に落とし処を見失い、引くに引けない状態だったのだと思います。

相手が年下の女性だったことも、事態を助長したかもしれません。それなら店長を出すことで、落とし処を与えようと考えました。大抵はお客さんの方から「責任者を出せ」と言い出すのが相場です。

店長の説明をお客さんに伝えた後「この電話はいま店長と繋がっておりますが、直接お話されますか?」と尋ねたら断られ、こちらの提案通りに理解してくれました。こういう場合は、きっかけさえあれば案外ピタッと収まるものです。

 

その後も別のお客さんが「自分は株主なのに、レジのトラブルなんて前代未聞。総会で訴えてやる」と言って暴れ出しました。株主優待も電卓で計算するのは、計算が苦手な私にとってはただでさえ大仕事なのに… やれやれです。

そのときも店長と電話が繋がっていたので、同じ方法で収めました。帰り道の夜風が、その株主さんの頭を少しでも冷やしてくれたらいいなと思いました。世の中色んな人がいるものです。

ほとんどのお客さんは理解してくださいます。却って安くなったことを謝ってくださる方や、トラブルを心配してくださる方が大半です。私は普段よりも雑談の機会が増えるので疲れますが。

 

実は、店長は数日前に赴任したばかりで、そのときの電話は私が彼と交わしたはじめての会話でした。顔も年代も知らないまま、赴任の挨拶もそこそこに私は彼を巻き込んで利用していました。そのことは後日詫びました。

私は店長との回線を利用することが、最も早い解決方法だと判断しました。「立っている者は親でも使え」私が好きな言葉で、よく採用する方法です。

その方法が最善だったのかはわかりませんが、結果オーライです。こういう応対は、私は十代の頃から得意でした。昔から色んな本や事例を見て覚えることが好きだったので、自然と身に付いたような気がします。

 

 

接客は役割が明確です。私は「渾身丁寧にもてなし、且つ、必要以上にへりくだることはしない」役割を演じれば良いのです。下手にへりくだることは、却って事態の悪化を招くことに繋がることが多いです。

毅然とした態度が必要なときもあります。私にとって接客とは、一種の心理ゲームです。一番の醍醐味は、ロボットには見えないロボットに成りきることセリフだと感づかれるようでは半人前です

攻略するほど上達し、会社もお客さんも助かります。顧客心理を駆使して満足して帰ってもらう。ゴールが明確なことは、私にとってさほど難しいことではありません。

 

ところが接客以外のプライベートになると、ゴールがわかりません。相手が何を求めているのかはそれぞれで、決してもてなして欲しい訳ではないと知りました。接客と同じことをすると巧く行かないのです。

私は最近までずっと、誰に対しても接客中と同じように接していました。前回の「ちょっと格好悪いうさぎ」の存在は、自分でも最近になって気がつきました。「対人モードをOFFにできるようになったことで、はじめて自覚したギャップです。( → 参考記事: 「対人モード」について

今回のような応対が「ちょっと格好良い」のかはわかりません。前回との比較でそう書いただけなのですが、おかげで大抵の接客業では困らずに仕事が勤まります。それは有難いことです。接客について、お客さんから苦情を貰ったことがないのは私の自慢です。

しかし、出会う人を皆「お客さん」としてもてなすだけの関係は、どうも寂しいものです。格好悪くてもいいから、対等な関係を築けるようになりたい。そう思うようになったので、今後もまた固まりつつ笑顔で誤魔化しつつ、何とかやって行けたらと思っています。

 

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